君の瞳-Hitomi-
呼吸を整えてからマイクの前で一礼し、一歩前に出て自分の書いた紙を出す。
「〈新入生代表、菅原悠紀。〉」
早まる鼓動を無理矢理落ち着けて読んでいく。
パリパリの制服に身を包み、皆が緊張の面持ちで座っている。
お父さんとお母さんはこられなかったけど、その後ろにはたくさんの親がいた。
「〈これで、新入生代表の挨拶を終わります。〉」
たくさんの拍手を受けながら一歩下がり、一礼してから舞台を下りて一番前の空いている席に座った。
はぁ、緊張した…。
ホッと胸を撫で下ろしていると隣にいた爽やかな男の人に話し掛けられた。
「お前、一組だって!
先生に来たら伝えろって言われてたんだよな。」
口に手を当ててニカッと笑う男の人。
僕は慌てて頭を下げた。
「わざわざ有難う。」
「良いって。
俺は早瀬聖。(ハヤセ ヒジリ。)
よろしくな、悠紀!」
「あ、うん!
聖くん、よろしくね!」