君の瞳-Hitomi-


「あんた、寝過ぎよっ!!」

「え、本当!?
うわぁ、早く起こしてよね!!」

この人は母親。
僕は一人っ子だからなんやかんやで甘やかしてくれる。

だけど進学校に通えるくらいのお金はなかった。
だから、特待生として学費免除を約束されて入れたのだ。


「ほら、ヤバいわよ!
遅刻するじゃない!
ほら、早く詰め込みなさい!!」

「んぶぶ!」

パンを口に詰め込んでコーヒーで押し流す。
味も何もあったもんじゃない。


「おぅ、悠紀。」

「あ、父さんおはようっ。」

二回から父さんが降りてきた。
普通のサラリーマン。

「来い来い。」

うふふ、と奇妙な笑顔を浮かべる母さんと並んで僕を呼ぶ。
不思議に思いながら近寄ると父さんが後ろから小さな箱を取り出した。


 
 
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