君の瞳-Hitomi-
「なぁに、それ。」
「開けてみろ。」
父さんに手渡された箱。
結構ずっしりしてる…
なんて思いながら箱を開けてみる。
「わぁ!」
中にあったのはシルバーの時計。
ずっと欲しかったんだ…!
「どどど、どうして!?
ここのブランド高いのに!!」
慌てる僕に二人は顔を見合わせて笑う。
「悠紀が、高校を特待生で行ってくれたから買えたのよ?
少なかったけど地道に高校のお金貯めてたんだけど、あんたが頑張ったから必要なくなったでしょ?」
「そのお金で買ったんだよ。
まだ余ってるけど、それも今まで出来なかった悠紀の我儘に使うからな。」
「母さん…父さん…!!」
ボロボロと涙が零れる。
「こらこら、可愛い顔が台無しよ?」
「間違えて彼氏なんかを作らないでくれよ!」
「せっかく人の感動を…」
僕は可愛い部類の顔らしくいつもこういう冗談を言われる。
「ほら、時間!
カバン持って、行ってらっしゃい!」
「あっ、本当だ!
行ってきます!」
二人に笑顔で見送られながら、母さんに手渡された鞄と新しい時計を手に、僕は新しい未来へと胸をときめかせて飛び出した。