君の瞳-Hitomi-
僕が中々答えないものだからか、また同じ事を問われた。
『迷子…?』
僕は顔を上げながら迷わず答えた。
「はい…。」
夢と同じ顔で、君は笑った。
『着いてきて?
私も今から向かうところ…』
夢と全く同じだった。
大きな瞳が僕を捕らえて離さない。
君は長い髪をなびかせながら僕の前を歩くんだ。
僕は夢を見ているようだった―…
でも今回は確実に言える。
「夢じゃないんだ…!」
思わず声に出した僕。
君は後ろを振り返って笑った。
『遅刻しそうだよ…?
夢の方が良かったんじゃない?』
くすっと笑ってまた前を歩く君。
僕は少し見惚れてから慌てて跡を追った。