未定


隣ではしゃいでいる親父を横目で見ていると

「美波、まだ四月なのよ?早く海から出てきなさい」
と、砂浜にいるお母さんが心配そうに言う。


三島 波子(ミシマ ナミコ)。

綺麗な顔の形成にすらっとした体のライン。

何を考えているのかわからない冷静な瞳に、お父さんは
「初めて目があったときにゾクってきたんだ!あのサディスティックな瞳…。運命だと感じた!!」
と言っていた。


私の自慢のお母さん。


でも、私もお父さんもお母さんの年齢を知らない。


「はあーい…。」
お母さんを怒らせると怖いからしぶしぶ海から出る。




「うー…もっと海を堪能したかったのにー…って寒ッ!!」

海から出ると、冷たい空気が針のようにちくちくと足首から下に突き刺さる。
その寒さに体を震わせた。

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