心に光るもの
「ほな、また明日なー」

「さや、課題ちゃんとせんとあかんで」

「うん、分かってる」

「じゃあな、忠義」

「おう」

けど、なんでなんやろね
恋って不思議なもんでさっきまで凹んでたのに急にうれしくなることもある

「疲れたなー」

「うん。でももう終わったし、ひとまず課題一個終わった感じやな」

それでも、一緒にいたくて
ずっと話していたいから
どうしても私から話しかけてしまう

「そやなぁ。てか、どうするん?さやの話。結局あれどうなったん」

「あぁ、ないんちゃう?」

「え、ないん」

「うんだって…俺家遠いし。あれ、絶対一人でやったほうがはかどるで」

「そかなぁ」

「うん。なに、皆でやりたかった?」

「まぁ楽しいかなぁとは思ったけど」

電車が同じで、方向も同じな私と忠義は夏休みの看板づくりのおかげで一緒に帰ることも多くなってた
こうやって二人でいるときはただ、それだけで嬉しくて
それだけで満足やった
でも、皆と話してるときは目が合わなくて
あんまり話しかけてくれることもなくて
それがすごく辛かった

「今日はどこまで行くん?」

「え?…さぁ?」

「まぁ、俺はなんも言わんけどな?」

忠義は私の住んでる高槻よりももうちょっと遠い京都に住んでて私は一緒に帰るようになってからついでやからって京都まで一緒に帰ることにしてた。それについて忠義は何も言ってくれんし、電車ん中では疲れて寝てることもあるから結局は私の判断で京都まで行ってしまうことになる

「あ、電車来た」


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