桜の木の下で




そして今。



外に出たのはいいけど、早川先輩がとても目立つので、みんなの視線が痛い。



それに、



「さあ優希ちゃん、どこ行く?」



先輩は当たり前のようにわたしの手を握っている。



「…手、離してください。家に帰ります」



ぶんぶん手を振っても、先輩は離してくれなかった。



「何、勉強するの?さすが優等生だねーっ!」



家まで送って行くよ!と早川先輩が言ったそのとき、



「優希ちゃん!」



後ろからわたしの大好きな声が聞こえた。



振り返って見ると、



悠太先輩がこっちに向かって走ってきていた。



「っ先輩!」



早川先輩の手を振り切って悠太先輩のところへ行こうとしたら、



「っ!!?」



後ろから早川先輩に抱き締められた。



< 198 / 250 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop