桜の木の下で
そして今。
外に出たのはいいけど、早川先輩がとても目立つので、みんなの視線が痛い。
それに、
「さあ優希ちゃん、どこ行く?」
先輩は当たり前のようにわたしの手を握っている。
「…手、離してください。家に帰ります」
ぶんぶん手を振っても、先輩は離してくれなかった。
「何、勉強するの?さすが優等生だねーっ!」
家まで送って行くよ!と早川先輩が言ったそのとき、
「優希ちゃん!」
後ろからわたしの大好きな声が聞こえた。
振り返って見ると、
悠太先輩がこっちに向かって走ってきていた。
「っ先輩!」
早川先輩の手を振り切って悠太先輩のところへ行こうとしたら、
「っ!!?」
後ろから早川先輩に抱き締められた。