桜の木の下で
「……中学時代ずっと将来有望だとか、期待してるぞだとか先生とか親に言われて。…プレッシャーだったんだよね」
「「………」」
「高校でもそういうプレッシャーかけられるのが嫌でさ。部活引退してからすぐに髪染めて喧嘩ばっかりして」
ぶっちゃけ楽しかった。
そう言ったときの先輩はとても切ない表情をしていた。
「推薦来てたけどさ、全部断って地元の高校入ってさ。プレッシャー感じなくてホント楽しかった。…でも、なんか物足りなかった」
「…なんかって?」
「バスケだよ。バスケ。部活引退してからもそうだけど、バスケがしたくてしたくて仕方がなかった」
早川先輩は指の先でボールをクルクル回した。
「プレッシャー感じなくてもいい遊びでバスケがしたかった」
「…んじゃあ、なんで急に桜岡に?」
「江藤先生に誘われたんだよ」
「「…江藤に?」」
お兄ちゃんと悠太先輩はびっくりした顔をした。