桜の木の下で
「俺ずっと優希ちゃん忘れられなくてさ、でももう会えないと思って諦めてた。」
わたしに頑張れと応援されたくて、高校行ってもバスケをやろうとしたけど、周囲のプレッシャーに押し潰され、荒れてしまったんだ。
「江藤先生に説得されてまたバスケやるって決めたとき、優希ちゃん思い出してさ。さすがに会えないだろなって思ってた。」
確かにたまたま練習試合に行った学校にわたしがいるとは限らないからね。
「そしたら転校した先に優希ちゃんがいて。いやあ運命感じたね!」
運命感じたなんてそんな大袈裟な……
「…でも、優希ちゃんと教室で会ったときは行きすぎた。ホントにごめん。」
先輩は立ち上がって深々と頭を下げた。
「だ、大丈夫ですから頭を上げてください!」
慌てて立ち上がり、先輩の肩を掴み顔を上げさせた。
「…許してくれるの?」
「先輩の練習してる姿見たらそんなの忘れちゃいましたよ」
笑顔で言うと、先輩も笑顔になった。