桜の木の下で
▼ 第八章
――…4月
「今日は暖かいね」
「ですねぇ……」
午後から入学式ということで、わたしたちは午前中に始業式が終わった。
先輩と二人の帰り道、手を繋いでのんびりと歩く。
「クラス替え、どうだった?」
「遥香ちゃんと一緒だったんですけど、結城くんとは離れちゃいました」
「そっか。良かった!」
「よ、良かったってどういう意味ですか?」
「ん?別に?」
むっ……相変わらず先輩の考えていることがわからない。
「…先輩は、どうでした?」
「3年連続で恭平と一緒!今回は早川と篠原と増岡と一緒だったよ」
「そうなんですか!楽しい一年になりそうですね!」
「うん、だね」
にこっと微笑むと、先輩を優しく微笑んだ。
「……あ、行きたい場所あるんだけど、いい?」
「はい、いいですよ?」
どこに行くんだろう……
わたしは行く先がわからないまま先輩の隣を歩いた。