桜の木の下で
「ゆきーっ!」
向こうからおにいちゃんが走ってきた。
「っおにいちゃん!!」
おにいちゃんが息切れしながら
「っごめん、ね?ママに呼ばれたんだ」
と謝ってくれた。
「だいじょーぶ」
そう答えると、おにいちゃんはにこっと笑ってぎゅうっとしてくれた。
「あ、あのね!ゆうたく、ん…あれ…?」
おにいちゃんにゆうたくんを紹介しようと後ろを見たら、ゆうたくんはもういなかった。
後でわかったこと。
ゆうたくんは最近、近所に引っ越してきて、しかもおにいちゃんと同じクラスだった。
これが、わたしと彼の出逢いだった。