桜の木の下で
「優希が寂しがってんじゃないかと思ってさ!」
さすがお兄ちゃん…わたしの気持ちよくわかってる。
実はお兄ちゃんも、先輩と同じ高校に通っている。
お兄ちゃんがいるから心強い、という理由でこの高校を選んだということもある。
早速会いに来てくれたんだ…
さすがシスコン。
…わたしもブラコンだけど。
「あ、あのな、優希の大好きな悠太もここに呼んだんだ」
「え、うそ…?」
びっくりして周りを見回した。
でも先輩らしき人の姿が見えない。
確か先輩は背が低くて女の子みたいに可愛い顔してたはず…
でもその記憶は先輩が中1だったころのだから今は成長しているはず。
…5年振りに先輩に会えるんだ。
必死に探したけど、やっぱり先輩らしき人の姿はない。
「お兄ちゃん、本当に先輩いるの?」
悲しい顔をして言ったら、お兄ちゃんが指をさして
「ほら、あそこ」
と言った。
「へ?」