花かがり 【短編集】
でね、その彼の後ろ姿を見てたのに、店員さんが並んでる私に気付いて「どぉ~ぞぉ~」って呼ぶから、仕方無しに彼の横に並んださぁ~。


本当は、もっと彼を見たかったのになぁ~。
っていう、感情を隠して…


でも時々、チラチラと彼を見たりしてぇ~。

ぅわっ。
私って、ちょっとヤバくな~い…


でねそれがね、そんな私の至福の時間を、また店員さんがさえぎって「お会計、410円でぇ~す」って言うから「は~い」っ言ったの。


そしたら、そしたらね、な、な、なんと、隣で店員さんが「410円のお返しで~す」って聞こえるじゃない!


私、ビックリして「えっ?」って思って隣のレジを見たさぁ~。


彼も同じ様に「えっ?」っていう顔をしてたの。


ねぇ、こんな偶然ってあると思う。


私、この時ぐらい「運命の人?」なんて思ったコトなかったなぁ~。


ねぇ、ビックリでしょ?


『410円の運命』
っていうのかな…。


こんな出会いって、あるんだね…


でも、私にはトオルがいるから、もし誘われても断っていたわよ。
勿論!!


ねぇ、私の言ってるコト、分かった?




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