花かがり 【短編集】
「一樹…。今年もまた、鈴蘭の咲く季節になったよ」
紗香は誰かに話す訳でもなく、ただ一人空に向かって話した。
見上げた空は、蒼く澄んでいた。
そこに、絵に描いたような雲が浮かぶ。
夏だというのに、陽射しはまだ柔らかく、紗香を優しく包んでいた。
まるで、一樹が紗香を抱き締めるように…
「あとね…。今まで、一樹に内緒にしてたけど、私…、鈴蘭の香りが好きじゃないんだ…。ゴメンネ…」
… ゴメンネ …
「でもね、一樹に会いたいから、一樹を感じたいから、一樹のソバに居たいから、今日も鈴蘭の花を贈るね。愛してるよ…。一樹…」
紗香は誰かに話す訳でもなく、ただ一人空に向かって話した。
見上げた空は、蒼く澄んでいた。
そこに、絵に描いたような雲が浮かぶ。
夏だというのに、陽射しはまだ柔らかく、紗香を優しく包んでいた。
まるで、一樹が紗香を抱き締めるように…
「あとね…。今まで、一樹に内緒にしてたけど、私…、鈴蘭の香りが好きじゃないんだ…。ゴメンネ…」
… ゴメンネ …
「でもね、一樹に会いたいから、一樹を感じたいから、一樹のソバに居たいから、今日も鈴蘭の花を贈るね。愛してるよ…。一樹…」