花かがり 【短編集】
一樹と過ごした日々は、私の宝物。

一樹に出会えたコトも、私の宝物。

一樹に愛されたコトは、私の宝物。

一樹を愛したコトも、私の宝物。


沢山の宝物が増えるたび、悲しみも比例するように溜まっていった。

幸せの後ろで、顔を出すコトもなく。

なのに、幸せが消えると同時にやって来る。

こんなに悲しみが、溜まっていたのかというくらい降り注ぐ。



深い愛情と深い悲しみは、共存しながら生きている。

それに気付くには、少し遅すぎた。

『出会い』の次には、必ず『さよなら』があるのだから。


私達は、ちょっとその日が早く来てしまっただけ…。


… 一樹、もう少し待っててね。私はまだ、そこには行けそうもないみたい …



一樹、いつまでも


愛してる…



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