花かがり 【短編集】
私の何が、イケなかったの?

私のどこが、嫌いになったの?


ねぇ、悪いトコロがあったら全部直すから…

もう一度、帰ってきて。

もう一度、私の元に戻ってきて。


居るハズもない、彼の後ろ姿に問い掛けた。




パタン。
と、ドアの閉まる乾いた音が、薄暗い部屋に響く。


私の好きな、彼の足音。

近づくハズの足音は、今は遠くに消えていく。


「君にはもっと、僕よりふさわしい人がいる」

彼の背中が消えた後も、そこに彼がいるかの様に、私は見続けていた。


また、彼が戻って来てくれるのを信じて…


私は、願った。





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