花かがり 【短編集】
「はじめまして。ユウナです…」
そう彼女が言ったハズなのに、あの時の僕は緊張のあまり聞こえてなかった。


何もかもが始めての、僕。
どうしたらいいのか…
どうすればいいのか…
分からないまま、ただただ突っ立っていた。

僕の心臓の音が聞こえるくらいの至近距離に、彼女が近づく。


「フフフ。そんなに緊張しなくても、大丈夫よ」
と、言ったかどうかは定かではない。


でも彼女は、最初から最後まで優しかった。

仕事だから。
と言われてしまえば、そうかもしれない…。

情けない僕を、こんな僕を、バカにしないで一生懸命尽くしてくれる彼女に、僕は惹き付けられていた。




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