花かがり 【短編集】
ある夜、僕はユウナの名刺を握り締め、店へと行った。


「いらっしゃいませ」
あの時の店長が、出迎える。


「あ、あの、あの…ユ、ユウナさんを…そ、その…」

「ユウナさんですね」

「は、はい!」
僕はユウナに、一分でも一秒でも早く会いたかった。


「あ~。今日ですね、お休みを取ってますねぇ~」
愛想笑いを浮かべる、店長。


「や、休み?」

「はい…。今日は、休んでいますねぇ。でも、もっとイイ娘がいますよ。お客さん!」
愛想笑いを続けながら、違う娘を勧める店長。


「いや…、き、今日は…じゃ…いいです…」

「えっ?お客さん!待って下さいよっ!」


店長が僕の後ろ姿に、声を掛け続けていた。
そして、僕に声を掛けるのを諦めた店長は、
「なんだアイツ!気持ちわりぃ、ヤツ!」
と言って、壁を蹴る音がした。





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