花かがり 【短編集】

「アイツ、キモくねぇ。今度は、電話かよぉ～」

「ちょっと、店長！聞こえてねぇ、電話？」
店の女の子が、慌てて店長に駆け寄った。


「バッカ。大丈夫だって。アイツが切ってから、喋ってんだから」

「さっすがっ、店長の自覚でてきたじゃん！」

「あったりまえよ！それより、今日もユ、ユ、ユウナさんは…って来たぞぉ。ユウナじゃなくて利奈ぁ～」


「気持ちワルッ！ほとんど、ストーカーじゃん」
利奈が、奥の部屋から出てきた。


「ど～する。辞めました、って言っとく？アイツの相手、疲れたし…」

「やっ、やめてよっ！今度は色んな所で、ユ、ユ、ユウナさんいますか…って、私を探し回るじゃない！いい笑われモノよぉ。ここの、経営者なのに」

「じゃ、もう一回アイツの相手する？」

「ぅわ、気持ち悪い…。もう二度と、思い出したくないっ。いくら、始めてだからって顔めがけてかける？フツー。そのあとが、もうもうサイアク…。思い出すだけで、吐き気がするわ」
武者震いする体を、利奈は抱き締める様にさすった。