花かがり 【短編集】
「あの…」

「あっ、ユウナさん…?じゃなくて…え~っと…それは、源氏名でしたね…。え~…っと…」
若い警察官が、利奈の名前を確認しようとするが、思い出せない。

「星野 利奈です…」

「あ~。そうでした、そうでした。星野 利奈さんでしたね。じゃぁ、こちらへどうぞ」
と、長椅子のある場所へと移動した。



「ちょっと待ってて下さいね。今、持って来ますから…」
と言って、若い警察官が走っていった。


― 確認したいモノって、なんだろう… ―
利奈は不安で不安で仕方なかった。

やっぱり、誰かに一緒に来てもらえば良かったかな…。と、利奈は一人で警察に来たことを後悔した。


― だってまさか、あんなことになるなんて… ―
利奈は頭を抱え、何度も何度も顔を振った。



「お待たせしました…。」
利奈は、何度も振っていた頭を上げた。

若い警察官と、もう一人ベテラン警察官が現れた。






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