臆病なあたし




「……うん」



将吾もどうにかしようと
してくれてたんだね



「俺も、今も彩奈が好きだよ?…勝手だけど、別れたとも思ってない」


勝手じゃない…

勝手じゃないよ



「じゃあ…前みたいに」



ひと握りの希望を胸に
将吾の制服の裾を掴んで



"戻れるの?"


聞きたかった



「けど、駄目なんだ」



でも将吾は、

あたしの手を握って

あの時みたいに
あたしの言葉を遮る



「俺じゃ駄目なんだよ、彩奈」



ただ違うのは、

将吾の顔が苦しそうなこと



「何が…駄目…?」



聞きたくないのに

先の言葉なんて
わかってるのに


聞いてしまうあたしは馬鹿?




「俺じゃ彩奈を幸せに出来ない。…高校も違うし、あんまり逢えないと思う」




そんなこと、いいんだよ



「あたしは…、将吾が隣に居てくれればそれだけで幸せなの…!」



会えなくても

電話できなくても

少しのメールでも平気


たまに会えるくらいで、
それだけでも充分なんだよ






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