臆病なあたし
「俺は絶対、彩奈に寂しい想いさせる。…泣かせるかもしれない。もう、彩奈を泣かせたくないんだよ…」
あたしの手を握っているのとは
違う方の手で自分の顔を覆う将吾
その声は震えて、苦しそうで
「……将吾」
わかったんだ
この人は
自分がどんなに辛くても
自分の事なんかより
相手の幸せを願えるような人
「彩奈、好きだよ?…大好き」
あたしは
掴んでいた手をほどく
あたしの大好きな人が
あたしの幸せを願って
離れようとしているから
「けど、俺じゃ幸せにできない」
あたしも応えなきゃいけない