臆病なあたし



「じゃあまた帰りねー」


美空と廊下で別れて
2組に足を踏み入れたあたし




──誰かが言っていた

"別れがあるから、出会いがある"




「あっ、1番後ろ」




まだ数人しか来てない教室で
大人しく自分の席についた


「空…綺麗」


何気なく見えた空は

すごく真っ青で
なんだか泣きたくなった



最高の人と別れてしまった分

最高の人との出会いがあると

あたしは信じるよ



そう考えていると
ガラッと前のドアが開いて
男の子が教室に入ってきた


座席表を見ると
こっちへ向かってくる


そして

あたしの前の席に鞄を置いて…


目が、合う

「前の席の笹木涼斗(ささきりょうと)ですっ、よろしくー!」



ニカッと笑った茶髪の彼

太陽みたいな温かい笑顔




「う、ん…よろしく」







微かな 恋の予感









《END》
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