そして俺らは走り出す
医務室を出て少しして。



人が増えてきたところで、俺はあ、と思う。


一度足を止めて、ゆっくり後ろを向く。

一方むこうもいきなり足を止めた俺に疑問を持ったようで。


丁度顔を上げていたところ、俺と目が合う。



うわぁ…。

やっぱすげぇ可愛い、こいつ。



そう思うがすぐに逸らされることになる。



「あ、あの…どうかしましたか……?」


「あ、あぁ…。

人、多くなるからえと……服、掴んで。


迷子にならないように」



見ず知らずの奴にこういうのも変かと思ったが、とりあえず、ここで俺らが離れ離れになっても意味が無い。


そう思っての言葉だったんだが、相手は何を思ったのか、顔が真っ赤になっている。



「わ…わたし、迷子になんてなりませんっ」


「…………。」



どうやら、子ども扱いされたことが恥ずかしかったようだ。




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