そして俺らは走り出す
……ていうか、だったらお前はさっき何してたんだよ。


そう思い、そのまま言葉にしてしまった。


「さ、さっきは……その…。


友達と、はぐれただけだもん……」



……何、この可愛い言い訳。


もはや言い訳にもなってねぇし。




頑張って笑いを堪え、ぽんぽんとそいつの頭に手を置く。



「わ、分かった分かった…」


一瞬ビクッと反応したが、やはり子ども扱いされたことに不満なのか。



「…わたし、子どもじゃないもん」

と、ぷーっと頬を膨らませて言っていた。



その言葉に俺は小さく笑い。



「はいはい、じゃあ
はぐれないように掴まっててください――お姫様」



「お……っ」


ちょっとキザかなと思ったが、その言葉に顔を真っ赤にしてぎゅっとユニフォームに掴まるこいつがいたから。





――別にいいかな、って思ったんだ。



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