そして俺らは走り出す
「あ、あの田中君は悪くなくてっ

わたしがっあの、いけないんですっ!


そ、それにっえと、わたし! 迷惑でっ

だから、その…」


あーもう。


「分かった。

もういいよ」


コイツは可愛さで俺を殺す気か。

どんだけ可愛いんだよ。


俺は自転車に乗らず、自転車を引いて歩いてく。



「……あのっ!」

「二人乗り、ダメなんだろ?


じゃあ歩いてこーぜ」


俺は何かを言いかけた桜音の言葉を遮るようにそう言った。


「……!

はいっ」


そう返事をし、桜音は自転車をはさむようにして
俺の斜め後ろに来た。




< 32 / 74 >

この作品をシェア

pagetop