ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「限界って…」


聖斗は体を起こすと
ベットに座り、タバコに手を伸ばす。


「限界…
そのまんまの意味だ…」


そんな…
私、嫌われたの?


タバコに火を点けた聖斗が
目を細め天井を見上げた。


「勘違いするな。
美羅に黙ってるのが
限界だってことだ…
もう…誤魔化せねぇな…」

「えっ」

「美羅が聞きたいって言った事
全部話すよ。
でも、今じゃない…
お袋が居ない時だ」


聖斗は、伯母さんが毎月、1日だけ
薬局の事務所に行く
締め日の次の日に
全てを話すと言った。


普段は事務員さんに任せているが
この日は
従業員の給料の計算や
支払いの確認に行くんだ…


「美羅も知ってるだろ?
その日は
昼から夕方まで帰ってこない…」

「そうだね…」

「明後日だ」


明後日、全てを聞くことが出来るんだ。


「あ…、明後日って
2月16日だよね…」


すると聖斗は
慣れた手つきで
タバコの灰を灰皿にポンポンと落とすと
「美羅の誕生日だな」と、言った。


「私の誕生日、覚えててくれたんだ」

「当たり前だろ…
俺の一番大事な女の誕生日
忘れる訳無い」


そう言って、聖斗は微笑んだけど
その目は
とても寂しげで


無理やり聖斗の胸の内を聞くことが
本当に正しいことなのか
自信がなくっていく。


「我がまま言って、ごめん」

「気にするな…
美羅とこうなった時から
話さなきゃなって思ってた」

「うん…」

「今日はもう、部屋へ戻れ…」


私は素直に頷くと
ベットから出て
トボトボと歩き出す。


「美羅…」

「んっ?」

「チョコ、旨かったよ。
ありがとな」



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