ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「聖斗、私のこと、からかってるの?
分かるに決まってるじゃない」
そう言って、顔を上げた私を
再び抱きしめる聖斗。
「その3人は…親子だ…」
今にも消え入りそうな、か細い声
「当たり前じゃない。
私とママは親子だよ」
聖斗が一体何を言いたいのか
さっぱり分からなくて
私は少し強い口調で言い返すと
さっきより
もっと小さな声で
聖斗が囁いた…
「…俺は、3人って言ったんだ…」
「…3人?」
聖斗の肩越しに
その写真を、もう一度見直す。
ママの膝の上に乗っかってる
2歳くらいの私と
真新しいランドセルを背負い
緊張気味に、すました顔をした男の子…
「聖斗…だよね?」
「そうだ。俺だ…」
私を抱く聖斗の腕が小刻みに震え
それを隠そうとしているのか
更に強く私を抱きしめてくる。
そして…
聖斗の口から告げられる
思いもよらぬ真実…
「俺の本当の母親は…
薫おばさんだ…」
「……?!」
聖斗の母親が…
私の、ママ?
「…聖斗…何言ってるの?
悪い冗談は止めてよ…」
余りにも現実味がなくて
私は驚くというより
笑ってた…
ほら、聖斗。
"冗談"だって言ってよ…
私をからかっただけだって…言ってよ…
「冗談なんかじゃねぇよ…
本当のことだ。
だから、俺と美羅は…
兄妹なんだよ…」
そんなこと
信じられる訳が無い…
絶対、ありえない…