ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「離して…聖斗」
「……」
「離して!!」
手足をバタつかせ
聖斗から逃れようとする私を
聖斗は力ずくで押さえ込んでくる。
「美羅、落ち着け…頼む…」
「いやぁーー!!
嘘だよ!
聖斗と兄妹なんて、嘘に決まってる。
聖斗のバカ!!
なんで、そんなこと言うの?」
私は、ありったけの力で
聖斗の背中を叩いていた。
それでも聖斗は
私を離そうとしない…
「俺だって、こんなこと信じたくねぇよ!
でも…真実なんだよ…」
「じゃあ、証拠は?
それが本当だって証拠を見せて!!
じゃないと私、信じない」
「分かった…分かったから、落ち着け」
ようやく聖斗が私を離し
古びたアルバムを引き寄せた。
「これはな、親父のアルバムだ…」
「伯父さんの?」
「親父の独身時代の物だ」
そう言うと聖斗は
そのアルバムを捲りだす。
「ここ、変だろ?」
聖斗が触れた部分は
なぜか、不自然に盛り上がっている。
そのページの台紙が少し破れてて
紙の間に、何か入っているみたい…
聖斗が手を突っ込み
取り出したのは
2通の封筒
セピア色に変色した
年代を感じさせるその封筒の宛名は
大原幸次…伯父さんの名前だった…
「誰からの手紙?」
「…読めば分かる」
聖斗から手渡された封筒を開け
中から手紙を取り出す。
その筆跡は、少し右上がりで
丸みをもった文字…
見覚えがあった。
「ママの字だ…」
見てはいけない物を見てしまった…
そんな思いだった…