ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

《幸次さんへ

元気にしてる?
私は、元気だよ。
今日は嬉しい報告があります。

昨日、お腹の赤ちゃんが
初めて動いたの
グニュって、ビックリした。

毎日少しずつ育ってるこの子が
今の私の支えです。

幸次さんに会えなくて寂しいけど
私のお腹の中には
大好きなあなたの子供が居てくれる。

だから、私は大丈夫だからね。
お姉ちゃんには
絶対、知られない様にするから
幸次さんも
気をつけてね。

たとえ、一生、このままの関係でも
私は構わない。

でも、生まれてくるこの子は
あなたの子供…
どうか、愛してあげて下さい。

では、またお手紙書きます。

薫より
愛する幸次さんへ》



愛する…幸次さん…

ママ…

これを書いたのは
本当に、ママなの…


伯父さんとママが不倫?
そればかりか、伯父さんの子供を妊娠…


あの、ママが…
自分の姉の旦那さんと
そんな関係になるなんて…


そして
罪の意識が感じられない
その手紙に愕然とする。


「…この、赤ちゃんって…」

「俺のことだよ」


俯いたままの聖斗が
ポツリと呟いた。


「ママが伯父さんの子供を妊娠したってことは認める…
でも、その子が聖斗だって
どうして分かるの?」


すると聖斗は
もう一通の封筒を
私に手渡してきた。


「これを読めば
全てが分かる…」


封筒を持つ手が震えて
中々、封を開けられない…


やっとの思いで
手紙を取り出すと
その便箋には
とても大人が書いた字とは思えないほど
乱れた文字が並んでいた。


ママの心の乱れ…
だったのだろう…


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