ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
《幸次さん、酷い酷い
あんまりだよ…
私の赤ちゃんを返して。
どうして私の赤ちゃんが
お姉ちゃんの子供になるの?
母親は私なのに…
それに、私になんの相談もなく
勝手に名前を付けたりするの?
聖斗って、誰が付けたの?
お願い、一生のお願いだから
赤ちゃんを、私に返して…
あの子を手放すくらいなら
死んだ方がまし
お願い。お願い。》
もう、言葉も出なかった…
誰が読んでも
この赤ちゃんは
聖斗のことだと言うだろう…
紛れも無い
残酷な現実が、ここにあった…
「美羅…大丈夫か?」
「聖斗…」
そして、私たちは
同じ母親から生まれた兄妹
イトコではなく
正真正銘
血の繋がった兄妹…
絶望と言う名の谷底に
突き落とされた気分だった…
「こんなことって…」
「美羅、できればお前には
知ってほしくなかった…
でもな、このままだと
俺は自分の気持ちを抑えきれなくなる。
美羅を抱いてしまう…
妹の…お前を…」
冷たい床に
何度も拳を叩きつける聖斗の姿が
たまらなかった…
「このことを、お前が知ったら
もう、美羅には触れられない…
だから俺は
その前に美羅を抱こうとした。
でも、出来なかった…
そんな残酷なこと…出来る訳ない…」
こんなドラマみたいな話し
現実にあるんだ…
そして、自分がその当事者になるなるなんて…
放心状態で
私の思考は、完全に止まっている。
ただ、分かっているのは
聖斗とは
愛し合うことが許されないということ…
愛しては、いけないということ…