ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】


それから、私たちは二階に上がり
私の部屋で過ごした。


伯母さんたちに
私の泣き腫らした顔を見せるのはマズいと
聖斗に言われたから…


「今日は具合悪いって、寝てろ」

「うん…」


寄り添い、手を握り合った私たちは
もう、恋人同士じゃない…


頭では分かってても
心が追いつかなくて
ついつい、聖斗の胸に
顔を埋めてしまう…


「もう、キスもできないの?」

「…そうだな」

「イヤだ!!」

「仕方ないだろ…
キスしたら、もっと美羅が欲しくなる。
俺は自分を抑え切れる自信がない…

勢いにまかせて
美羅を抱くかもしれねぇ…
そんなことになったら…」


分かってる。
私だって、そうだから…
でも、もう二度と
聖斗に愛してもらえないのが
寂しくてたまらないの


すると、一階が騒がしくなる。
伯母さんたち帰って来たんだ…


「いいか、ちゃんと寝てろよ。
お袋にはウマく言っとくから
いいな!」


聖斗が部屋を出て行くと
私は言われた通り
ベットに入り
腫れぼったい瞼を閉じる。


このまま眠って、目が覚めたら
全部、嘘だってこと…ないかな…


トントン…


「美羅ちゃん?入るわよ」


伯母さんの声に
私は慌てて布団を頭までかぶり
返事をする。


「具合悪いんだって?大丈夫?」

「うん。風邪みたい」

「そう…じゃあ、ケーキは明日ね。
お粥でも食べる?」


布団の上から
私の体を摩ってくれてる。
そんな伯母さんの優しさが、たまらない…


伯母さんを裏切った
ママの娘の私を
こんなに心配してくれてる…


聖斗の気持ちが
少し分かった気がした。





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