ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「上杉…く…ん」
大小の星が散りばめられた
可愛いストラップ。
その中でも、一番大きなスカイブルーの星に
刻まれた文字に目が止まった。
"To Mira
Your smile is loved"
…君の笑顔を愛してる…
「これ…」
「別れる前に買ったんだよ。
美羅の名前入れちまったし
どうしたもんかなぁってな…
別れた男から
こんなの貰っても嬉しくないかもだけど
手元に置いとくと
美羅のこと忘れらんねぇし…
捨てるのも、ちょっとな…
まぁ、美羅が迷惑なら
捨ててくれ」
笑いながら
そう言う彼の心中を思うと
やり切れなかった。
「捨てたりなんかしない…
嬉しいよ。
有難う、上杉君」
私は携帯を取り出すと
付けてあったストラップを外し
貰ったストラップを付けた。
「大切にするから…」
携帯を握り締め
必死で涙を堪える。
「いいのか?
そんなの彼氏に見られたら怒られるぞ」
「いいの…」
最後の最後まで
こんな私に優しくしてくれて
有難う…
上杉君と過ごした3年間は
絶対、忘れない…
だって、辛いことばかりの私の人生の中で
一番幸せだった時期だもん。
「俺は、美羅が笑ってくれてたら
それでいい…
今まで、ありがとな。
もうアイツから離れんじゃねぇぞ!
でも…
どうしても辛いことあったら
他のヤツじゃなく、俺を頼れ。
いいな」
それだけ言うと
上杉君は、ニッコリ笑い
駆けて行った。
"有難う"って、言葉
何十回、何百回言っても足りない…
本当に、有難う。上杉君。
もう…
溢れ出る涙を止めることは出来なかった。