ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
そして…
私を憂鬱にさせていた
もう一つの理由は…
由香ちゃんの中学生とは思えない
あの、スタイルの良さ。
男の子たちの視線は
常に由香ちゃんに注がれていた。
優斗までが
普段、私に見せてくれる笑顔とは
比べ物にならない様な
眼差しで笑ってる。
切なくて、悲しくて、悔しくて
胸がキリキリ痛む
これが、嫉妬という気持ち…
その時、誰かが
私は肩を叩いた。
「チビ美羅。
泳がないのか?」
隣に座ったのは
聖斗だった…
「うん…」
聖斗は、暫く何も言わず
優斗たちがはしゃぐ姿を眺めていてが
やがて
大きく伸びをしながら
話し出す。
「あの由香って人
兄貴のこと好きだよな…」
「えっ?」
「こんなとこで、ぼんやりしてたら
兄貴取られちゃうぞ!
いいのか?」
「良くない…けど…」
子供の私にだって
それ位、分かってた。
でも、あの中に入って行く勇気が無かった。
「まぁ、スタイルは
あの人の方がいいけど
顔は美羅の方がいいんじゃね?」
「せい…と?」
意外だった…
聖斗が私のこと褒めたの
初めての様な気がする。
「ホントに、そう思う?」
「あぁ…」
そして
こんなに落ち着いた会話をするのも…
いつも憎まれ口ばっかりの聖斗とは
怒鳴り合いしてる記憶しかない。
「めんどくせーから
泣くなよ」