ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
意識が、どっか遠いとこにある感じ…
おまけに、やたら眠い…
ソファーにもたれ掛かると
ゆっくり瞼が閉じていく…
まるで、吸い込まれる様に
薄れていく意識の中
最後に耳にした言葉は…
前に座ってた男子の
「うわっ!江川のパンツ、エロー!!」
だった…
_____ ___ __
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「……つもりだ……考え…てる?」
んんっ?
誰かが怒鳴ってる?
あれ…ここ、車の中?
まだハッキリしない頭
ぼやけた視界に飛び込んできたのは
運転席の窓から
頭を突っ込んで怒ってる聖斗の顔…
なんで聖斗が居るの?
「ごめーん。
まさか、こんなになるとは思わなかったの…」
「美羅に酒なんか飲ませやがって
智可、いい加減にしろよ!」
「まあまあ、聖斗
そんな怒るなって
智可も悪気があって飲ましたんじゃねーし…」
この声は…智可のお兄さん?
「皆で楽しく飲んだんだ。
大目に見てやれよ。
智可から美羅ちゃんが酔いつぶれたって電話きて
ちゃんと、こうやって送り届けたんだからさー
感謝しろって!」
「何が感謝だ!
ふざけるな!」
すると突然、私の乗ってる後部座席のドアが開き
肩を掴まれる。
「美羅!起きろ!」
「せいとぉー…」
「いつまでも寝てんじゃねーよ!」
仕方なく体を起こそうとするが
全然、力が入らなくて
立ち上がれない…
「聖斗…無理…」
「チッ!…しゃーねぇなぁー…
ほら、俺の背中におぶされ」
「んんんっ…」
なんとか聖斗の背中にしがみ付き車を降りる。
「うほっ!!」
雅史さんの変な声に聖斗が立ち止まった。
「なんだよ?」
「美羅ちゃんのパンツ
ソソられるー」
「バカ!見るんじゃねー
ブッ殺すぞ!雅史!」
聖斗の怒号が
静まり返った夜の住宅街に響き渡った後
智可の
「聖斗くーん、今夜は頑張ってねー」
と、いう声が、微かに聞こえた。