ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

リビングを出ると
2階の部屋に向かう。


伯母さんはまだ、諦め切れないのか
優斗に帰って来る様にと
怒鳴ってる。


やっぱり、跡継ぎは
自分の子供にって思ってるのかな…


ドアを開けると
以前とまったく変わらぬ部屋…


帰って来る私の為に
日干ししてくれたんだな…
太陽の匂いがする布団


ふんわりとた心地いいベットに寝転び
何をするでもなく
ボーッと、天井を見上げていると
ドアをノックする音


「はい…誰?」

「…俺」


それは、意外にも聖斗だった。


慌ててドアに駆け寄り
ノブを掴むが
それを回す事はできなかったんだ…


ドア越しに「何?」と、尋ねると
懐かしい私の名を呼ぶ声…
一瞬にして、涙が溢れる。


「美羅…元気にしてたか?」

「元気だよ…」

「大学はどうだ?」

「楽しいよ…」

「そうか…それで…」

「何?」

「その…今、彼氏とか…居るのか?」


ドキッとして、言葉に詰まった。


彼氏…そんなの居るはずないよ…

でも、聖斗が求めてるのは
そんな答えじゃないよね…





「…居るよ…」


そう言わなきゃいけないんだって思った。


「聖斗も彼女と仲良くやってる?」

「あぁ…」

「そっか、良かったね…」


ワザと明るく言葉を返す。


これでいいんでしょ?
聖斗は満足?


私は泣いてることを悟られない様に
今にも漏れそうな嗚咽を
必死で押さえ込んでいた…


私たちの距離は
もう、縮まることはない…





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