ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

次の日
優斗は、暫く帰らないから…と言って
この家を後にし
私も聖斗と顔を合わせるのが苦しくて
一泊しただけで
下宿に戻った。


次に家に帰ったのは
成人式の日。


…私の振袖姿を見て
何か言ってくれるかな?


少しばかりの期待に胸躍らせ
聖斗を見つめたけど


そんな淡い期待は
見事に裏切られ
聖斗は視線すら合わせてくれなかった…


ホント、私はバカだ。


この期に及んで
まだ未練がましく聖斗を忘れられないでいる。


聖斗には
もう、大切な人が居るのに…




それから3ヶ月後


優斗が製薬会社に就職したからなんだろう
聖斗は大学を卒業し
国家試験に合格すると
伯父さんの薬局で働きだした。


伯母さんは満足そうだったけど
聖斗は、どうなんだろう…
本当はやりたいこともあったろうに…
そんな聖斗の胸の内を思うと
複雑な気持ちになる…




月日は流れ
季節が幾度も移り変わっても
私が聖斗を想う気持ちは
色あせることなく
常に心のどこかで聖斗を求めていた。


何度も忘れようとして
紹介された男性や、告白された男性と
形だけの付き合いをしたこともあった。


でも、無意識に聖斗と比べてしまって
聖斗なら、こう言ってくれるはず…
聖斗なら、こんなことしない…
"違う"というジレンマに
イライラが募り
耐え切れず別れを口にしてしまう私。




好きだけど
会いたくない…

好きだから
会えない…


結局、私は4年になるまで
家にはほとんど帰らなかった。


22歳の誕生日を目前にひかえた1月。
なんとか卒業する為の単位も取得できそうで
卒論も順調。
そして、就職の内定が貰えたその日


事故は起こった…





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