ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
誰にも見つからないように
堤防沿いを歩き
さっきの男性が
指差した岩場へと向かう。
ゴツゴツした岩は滑りやすく
フラつきながら
優斗たちから見えない場所へと急ぐと
私は必死で目を凝らし
夢中で貝を探した。
でも、そう簡単には見つからない。
すると突然
私の頭を、誰かが突っついた。
「……!!」
「何やってんだ。
チビ美羅!!」
「…聖斗」
「まさか…お前…
一人で貝採りしてたのか?」
「…悪い?」
きっと、また私のことバカにして
笑うんだろうと思った。
「そうか…
じゃあ、俺も手伝ってやるよ」
その言葉に心底驚いた。
「いいの?」
「……」
「聖斗?」
「あの由香って人に、負けたくないってことか…
そんなに…
兄貴のこと、好きなのか?」
いつに無く、真面目な顔で
私に問いかける聖斗
「好き…だよ」
「…そっか」
それ以上
聖斗は何も言わず
私と一緒に貝を探してくれた。
2人で探しても
全然見つからず
私たちは、どんどん先の岩場へと
進んでていく
『立ち入り禁止』の看板さえ
目に入らなかったんだ…