ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「うん…ごめんね」

「美羅に、もしものことがあったらって
生きた心地しなかった…」


そう言った聖斗がいきなり
布団の上から
私の体を強く抱きしめてきた…


うそ…


どんな顔していいのか分からない。


どうして?
どうして抱きしめたりするの?


「やだ…聖斗…大げさだよ」

「あぁ…」

「苦しいよ…離して…」


本当は、このままずっと
抱きしめていて欲しかったのに…
心とは裏腹なことを言ってしまうのは
私の悪いクセ。


「あ…悪りぃ」


体裁悪そうに下を向き
苦笑いを浮かべる聖斗。


「元気そうだな。安心したよ」

「うん。私は大丈夫だから…
心配してくれて
ありがとう」

「そうか、じゃあ、俺行くわ…」


部屋を出て行く聖斗を
引き止めたかった。
もっと側に居て欲しい…


でも、そんなことしたら
私は自分の気持ちを抑え切れなくなる。
聖斗が好きだって
言ってしまいそうで怖かった。


4年ぶりだよね…
聖斗を失って4年。
余りにも時間が経ちすぎてしまった…


恋人にも兄弟にもなれない
中途半端な関係の私と聖斗。


一体、私は聖斗を
どんな目で見ればいいのかな?


いっそのこと
"お兄さん"とか呼んじゃったら
楽になるのかな?


そうしたら
聖斗も安心するのかな…

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