ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「バーカ!
そんなの分かってるさ」


そう言って聖斗が
私の体の上に乗っかってる
お風呂のフタを持ち上げようとしてる。


「あ、あ、ダメ…」


これを持ち上げられたら
真っ裸の状態なんだよ…
モロ見えだよ…


「じゃあ、そこでずーっと寝てろ」


それも困る…


「どうして欲しいんだよ?」

「うぅぅ…
見ないで助けて欲しい…」


聖斗はため息をつくと
私の顔にバスタオルを放り投げてきた。


「いいか!
俺がフタを少し上げたら
それを体に巻きつけろ」

「分かった…」


なんとか無事に脱衣所に出られた。


やっぱり聖斗は
私の体には
なんの興味も示さない…


「まったく…
世話の焼けるヤツだな。
たまたま俺が帰って来て
リビングに居たから良かったもんの

気付かれなかったら
ずーっと、風呂のフタ抱いて
潰れてたんだぞ」

「ごめん」


このことに関しては
申し開きなどできない。
深く反省して
頭を下げた。


「でも…胸、ちょっと大きくなってたな…」

「はぁ?結局見たの?」

「チラッと見えちまったんだよ。
今の彼氏は揉み方が上手いんだな…」


冗談ぽく、そう言って笑う聖斗。


彼氏なんて居ないのに…


「まあね…」


また、心とは裏腹なことを言ってる。


「パジャマ着るから
外、出てくれる?」

「あぁ…」


これでいいんだよね…
聖斗を意識しちゃいけない…
そうだよね…



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