ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

少し開いたドアの隙間から
声を掛けたけど
返事は無い。


「聖斗…入るよ」


ベットに寝転び
ムスッとした顔でタバコをふかしてる聖斗の横に座り
「ごめんね」って言うと
私を凄く怖い目で睨んできた。


「そんなに怒んないで…」

「フン!俺のすることが
気に入らねぇんだろ?
出てけよ」


完璧キレてる…


「聖斗が私の為に怒ってくれたのは
嬉しかった…
でも、あの人はいい人だよ。
謝りに来てくれたんだもん」

「お人好しが…」


起き上がり、タバコをもみ消すと
また私を睨み
「まぁな、こっちに帰って来て
10日以上経つのに一度も見舞いに来ない
彼氏よりは、いいヤツなのかもな!」
そう言った。


「彼氏?」

「そうだよ。
美羅の彼氏だよ!
お前のことが好きなら
会いに来るのが普通だろ?」


聖斗はそんなこと考えてたんだ…

そうだよね。
普通なら、会いに来てくれるよね…
彼氏が居たら…


なんだか
凄く空しさを感じた。


「心配してくれる人なんて
居ない…」

「えっ?」

「彼氏なんて…初めから居ないよ…」

「……」

「嘘ついてたの。
彼氏が居るって…」

「なんだ…それ?」


なんとも言えない複雑な顔をして
私を見つめる聖斗。


「そう言った方が聖斗が喜ぶって思ったから…」

「なんで?」

「だって、彼氏つくれって…
そう言ったじゃない。
私に彼氏が出来たら
聖斗は安心なんでしょ?

もう私に付き纏われなくて済むし…
妹の私がいつまでも聖斗のこと好きじゃ困るんでしょ?
だから…
だから…」


それ以上涙が溢れて
言葉にならなかった。


言っちゃいけないことだって分かってたけど
我慢出来なかったんだ…


もう、聖斗の顔見れない。
せっかく必死で誤魔化してきたのに
この気持ちを
気付かれない様に
一生懸命頑張ってきたのに
全て水の泡…


「変なこと言って、ごめんね…」

居たたまれなくなり
松葉杖を引き寄せ
立ち上がると
急いで部屋を出ようとした。


「わぁっ…!!」







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