ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
深まる疑惑
カーテンの隙間から
白々と朝日が差し込む部屋で
私は再び聖斗に抱かれた。
「約束守ったろ?」
目の前で微笑んでいる人は
間違いなく
私を愛してくれてる…
これ以上の喜びは
有り得ない…
でも、いつまでもこうしては居られない。
名残惜しい気持ちを隠せず
何度もキスをせがむ私に
呆れながらも答えてくれる聖斗。
「そろそろ起きねぇと
お袋がキレるぞ…」
「分かってるよ…」
今日は土曜日
薬局は営業してるが
交代で休めるらしく
今週は聖斗が休みで伯父さんが出勤。
「今日も明日も
一緒に居られるだろ?」
「うん…」
渋々自分の部屋に戻り
着替えて一階に下りると
伯母さんが、アタフタと部屋の掃除をしてた。
「伯母さん?」
「あぁ…美羅ちゃん。
悪いけど、朝食はパンで済ませてね」
「いいけど…
どうしたの?こんなにピカピカにして」
床を拭く手を止めた伯母さんが
真剣な眼差しで私を見つめると
「来るって言ってきたのよ…
京子さんが…」
と、何故か小声で言う。
「京子さんって…名古屋の?」
「そう。
今朝よ!突然電話してきて
『行くから』…だもの…
困った人だわ」
京子さんは
伯母さんとママの父親
つまり私のおじいちゃんの妹で
私や聖斗から見れば大叔母にあたる。
名古屋の料亭に嫁いで
女将をしてるパワフルおばさんだ。
「ゲッ!!あのババァ来るのかよ!」
「あら、聖斗。
そう言うことだから
あなた京子さんを駅まで向かえに行ってね」
私より少し遅れてリビングに入ってきた聖斗に
伯母さんは早口でそう言うと
また床を磨きだす。
「チッ…俺、あのバアさん苦手なんだよなー」
「何言ってんの!
京子さんに一番可愛がられてたのに
バチが当たるわよ。
頼んだからね」
ハァ~…
2人でのんびりした休日を過ごすのは
無理みたいだね…聖斗