ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

夢の中のママは赤い服を着てた…


京子さんは派手好きで
特に赤い服をよく着てる。
ここに来た時も
真っ赤なコートを着てた…


こじ付けかもしれないけど
京子さんとママは、何か深い繋がりがある様な…
そんな気がした。


もしかして
聖斗が私の兄じゃないというヒントが隠されているんじゃないかと
期待を込めて、もう一度手紙を読んでみたけど
読めば読むほど
事実として受け入れざる得ない。


それなら…


私も聖斗も知らない
ママと伯父さんの過去。
2人がどうして愛し合うようになったのか
どうして大きなリスクを犯してまでも
聖斗を産もうとしたのか…


女としてのママの気持ちが知りたいと思った。

それは、今の自分とママが重なってたから…


親ではなく
1人の女性として
重大な決断をしたママの胸の内は…


許されない愛に身を焦がし
それでも愛さずにはいられない
どうしようもない想い。


それを貫いたママの苦悩。
そして、自分を責めてる聖斗の為にも…


知りたい。
聖斗の出生の秘密と、真実を…


この先、私も同じ様な決断を下さなければいけなくなった時
ママみたいに強くなれる様に…


卒業式が終わったら
京子さんに、会いに行こう…



・・・



眠れぬまま朝を迎えた私は
仕事に出る聖斗を見送り
下宿に戻った。


卒業式の次の日には
下宿を出なきゃいけない。


部屋の片付け、ひっこしの準備
大学を休んでた間の諸々の雑用をこなし
慌しい日々が過ぎていく…


そして、卒業式当日


駆けつけてくれた伯母さんに
「一緒に帰る?」と聞かれたが
私は友達と卒業旅行に行くからと
嘘をつき
名古屋行きの電車に飛び乗った。


伯母さん
嘘ついて、ごめんね。
今まで育ててくれた伯母さんには
本当に感謝してる。


でも、どうしても知りたいことがあるの…













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