ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「えっ?」
まさか聖斗の名前が出るとは思ってなかった私は
目一杯見開いた目で京子さんを見つめた。
「どうして…?」
「あんたたち、デキてるんでしょ?
見てればれば分かるわよ。
で、私に何して欲しいの?」
さすが京子さんだ…
数日一緒に居ただけで
私と聖斗の関係に気付くなんて…
「あの…
京子さんに聞きたかったのは
ママと伯父さんのことなの…」
京子さんの顔が引きつるのが
ハッキリ分かった。
「薫と…幸次さんのこと?」
「私…知ってるの…
ママが結婚する前
伯父さんと付き合ってたこと…」
鞄から、あの手紙を出し
京子さんの前に置いた。
その手紙を手に取り
眉間にシワを寄せる京子さん。
「こんな物が残ってたの?
いったい何処に?」
「家の納戸のアルバムの中にあった。
聖斗が見つけて
私に見せてくれた…」
「聖斗が?」
京子さんの驚きは
ハンパなかった。
着物の襟を強く握り締め
真っ青な顔をしてる。
「聖斗が…これを読んだの?
なんてこと…」
「高校生の時に見つけたそうだよ。
それ以来、聖斗は苦しんできたの
自分が伯母さんの子供じゃなく
愛人のママの子供だから…
伯母さんに恩を返そうと
一生懸命だった…」
「じゃあ…あんたたち…」
「うん、兄妹だって知ってるよ。
でも、好きな気持ちは変わらなかった…
だから私と聖斗は
たとえ結婚出来なくても一緒に生きて行こうって
約束したの」
「美羅…」
「私はね、ママと伯父さんのこと
受け入れようと思ってる。
ママがどんな恋をして
聖斗を産んだのか
そして…
どうして聖斗をママから引き離す様なことしたのか
それが知りたいの…
聖斗は口には出さないけど
自分が生まれてきたせいで
周りの人を不幸にしたって思ってる。
そんなこと無い…
聖斗は愛されて生まれてきたんだって教えてあげたい」