ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「後ろめたく思うことなんてない。
結婚だって出来る。
良かったね…美羅」
優しく微笑む京子さんに声を掛けられても
私の思考は、ほぼ"無"に近かった…
余りの驚きに
嬉しいとか、良かったとかいう感情は麻痺してたんだ。
涙さえ出ない…
「美羅?」
「きょう…こ…さん…私…」
「今日はもう遅い。
泊まっていきなさい」
魂が抜けたみたいに
意識が薄れ
用意された部屋に案内された後も
ぼんやり宙を眺めてた。
聖斗と私は、ただのイトコ…
結婚だって出来る…
・
・
・
「あっ!!」
聖斗に…聖斗に教えてあげなくちゃ…
早くこのことを…聖斗に…
慌てて携帯を持つと
ドキドキしながらボタンを押す。
聖斗… 聖斗…
でも、聞こえてきたのは
電源が入ってないと告げる事務的な声
それならと、家にかけてみると
伯母さんが出て
聖斗は友達に会うからと
つい、さっき出かけたと言われた。
「友達?」
『そうなのよ。
仕事から帰って来たと思ったら
突然、出かけるって…
今夜は帰らないとか言っちゃって…
それより
美羅ちゃんの方はどう?
卒業旅行、楽しんでる?』
「えっ?あぁ…うん。」
そうだった…
私、卒業旅行に行ってることになってたんだ…
『美羅ちゃんの帰りは明後日だったわね!
聖斗が美羅ちゃんいつ帰るんだって聞くから
そう言っといたけど…』
「うん…そのつもりだったんだけどね
明日帰ろうと思ってる」
京子さんが本当のことを話してくれるまで
帰らないって覚悟を決めてた私。
こんなにあっさり話してくれるとは
予想外で
2~3日はかかると思ってた。
伯母さんには明後日に帰るって言ってあったけど
もう、その必要は無い。
すぐにでも帰って
聖斗に会いたい…
そして
この事実を話してあげたい…
私たちは、愛することを許されたのだと…