ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

決別

昨夜は中々寝付けなかったせいで
目覚めたのはお昼過ぎ


「わぁ!!ヤバい」


慌てて飛び起き、着替えてると
京子さんが部屋に入ってきた。


「やっと、お目覚めかい？」

「あっ…ごめんなさい…
寝過ごしちゃった」

「いいんだよ。
昨日は疲れたろ？
ご飯の用意出来てるから
食べにいらっしゃい」


そう言って部屋を出て行こうとした京子さんを
私は呼び止めた。


昨夜は聖斗と兄妹じゃないと聞かされ
舞い上がってしまったから
話しが途中になっちゃったんだ…


「ママは、それからどうしたの？
どうやって立ち直ったの？」

「あぁ…それはね
美羅のパパが
薫の心を開いてくれたんだよ」

「パパが？」

「そう。
一度は結婚を決めた人が居たっていっただろ？
あれが、美羅のパパなんだよ。

智也さんは
入院してる薫を毎日の様に見舞ってくれてね
励ましてくれた。

あの人はクリスチャンだったからかね…
心が広かった。

訳の分からないことを言う薫を
黙って抱きしめてくれてた。
彼が居なかったら
薫は立ち直れなかっただろうね」

「そう…パパが…」

「話しの続きは
食堂でしてあげる。おいで」


柔らかい日差しを受けながら
また、長い廊下を歩き
別棟のキッチンに入ると
香ばしいお味噌の香りが立ち込めていた。


「せっかく名古屋に来たんだから
名物の一つくらい食べていきなさい」


そう言って
私の前に置かれた
小ぶりの土鍋


「味噌煮込みうどん？」

「そう!」


まだ、グツグツ音をたててる御つゆを
蓮華ですくいながら
私は新たな疑問を京子さんに投げかけた。


「私の知ってるママと伯母さんは
凄く仲が良かったよ。
そんな過去があったなんて
信じられない…」

「そうだね。
それは、聖斗のお陰なのかもしれないね…」

「聖斗の…お陰？」