ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

伯母さんは、聖斗は友達に会いに行くって言ってたな…
ひょっとして
雅史さんなら何か知ってるかも…


今日は土曜日
病院は休みだよね…


私は智可に電話した。


私より1週間早く大学の卒業を済ませていた智可は
今は実家に戻り
家業の産婦人科医院で働きだしていた。


「智可?美羅だけど…」

『美羅…』

「あのね、聞きたいことあるんだけど…
聖斗って、昨日雅史さんと会ってたってことない?」


『…聖斗君?
あ…うん。昨夜、ウチに来てた…』

「あ、そう!
そうなんだ…」


良かった。
理絵さんと会ってたんじゃなかった…


『美羅…そんなこと聞いて
なんかあった?』


心配そうな智可の声

私は、聖斗と兄妹じゃなかったと言いそうになったけど
グッと、言葉を飲み込んだ。


このことを一番に話す相手は
聖斗だと思ったから


「うぅん。
ただね、すっごくいいことあったんだよ。
そっちに帰ったら
ゆっくり話すから…

あっ!もう、時間だ。
また電話するね」

『えっ?ちょ、ちょっと…美羅…』


一方的に携帯を切った私は
ホームへと急ぐ


電車に乗り込み
座席に座ると
大きく息を吐く。
「ハァー…」


張り詰めていた気持ちが緩んだせいか
ドッと疲れが押し寄せてくる。


なんだか頭が痛い…
寒気もしてきた。


家に着いた頃には
完璧な風邪の症状が出て
節々は痛いし
熱っぽい。


早く家の中に入ろうと
チャイムを鳴らすが、応答がない。


伯母さん、出かけてるのかな…


仕方なく鞄の中から鍵をだそうとしたけど…
「あれ?鍵が…ない」


うそ…マジ?



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