ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
あぁ!
この家の鍵は
違う鞄の中に入れてあったんだ…
引越しの荷物と一緒に送っちゃった…
どうしよう…
伯母さんに電話する?
でも、帰って来るまで
ここで待つのは辛いよ…
あ、そうだ! 裏の勝手口
私はフラフラしながら
家の裏口にまわり
ドアの横の鉢植えを持ち上げた。
「あったー!!」
伯母さんは、ここに裏口の鍵を隠してたんだよね…
なんとか家に入り
風邪薬を飲むと2階の自分の部屋へ向かう。
あー…
もう、ダメー
ベットに倒れこむと
そのまま爆睡してしまった…
・
・
・
どの位、眠ってたんだろう…
階段を上がってくる足音で目が覚めた。
「…入れよ」
微かに聞こえたこの声は…聖斗?
誰かと一緒?
静かに起き上がると
そっと、ドアを開ける。
「へぇ~、これが聖ちゃんの部屋?
やっと、連れて来てもらえたー」
「…!?」
「ねぇ、聖ちゃん
こっちに来てよー」
まさか…
「なんか飲むモン持ってくる…」
「そんなの、いいの!
ここに来て…キスして…早く…」
少しだけ開いたドアの隙間から
信じられない会話が漏れ聞こえてくる…
全身の血がサーッと、引いていく感覚。
聖斗…
そして、ベットに座り
聖斗の腕を引っ張っている女性
この人は…
「よせよ…理絵」
高校時代の先輩…
聖斗と同じ大学だった
大木さん…?
聖斗の彼女って…
この人だったんだ…
私の知らない4年間
聖斗に何度も抱かれ、愛された人…
「誰も居ないんでしょ?
だったら、聖ちゃんのベットで…
抱いて…ほしい…」