ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
それは、一瞬の出来事だった…
優斗の右腕が
聖斗の頬を殴りつける。
その反動で
聖斗がロビーの床に転がると
馬乗りになった優斗は
更に拳を振り上げた。
「聖斗!!
お前…何考えてんだ!!」
容赦なく、聖斗の顔を殴りつける優斗に
私は慌てて口を開く
「止めて。優斗…」
"悪いのは私"
そう言おうとした。
でも、殴られながらも
私を睨み、小さく首を振る聖斗に
言葉が詰まる。
それは、"何も言うな"という
聖斗の無言の訴え
「お前は、どうしてそんなに自分勝手なんだ。
美羅を巻き込むな!!
まだ子供なんだぞ!!」
えっ…?
思いもよらぬ優斗の言葉…
"まだ子供なんだぞ…"
それが、優斗の本心。
優斗にとって私は
『女』ではなく『女の子』なんだ…
恋愛の対象にもなってなかったんだ…
私が呆然としている間に
周りの人達が止めに入り
2人は引き離される。
結局、聖斗が悪者になってしまった…
本当は、私が悪いのに…
聖斗に申し訳なくて
帰りの車の中で
私は、ずっと泣いていた。
そして
最後まで私を守り通してくれた聖斗への
想いが心の中で
大きく膨らんでいくのが分かった…