ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
放心状態で自分の部屋に戻った私は
この現実を
どう受け止めたらいいのか考える余裕すらなく
その場に座り込んでしまった。
ただ一つ、分かっていたのは
もう、この家には居られないということ…
聖斗の側には
居られない…
ふと、目に映る
薬指の指輪
一生、外さないと誓った
約束の指輪…
約束は破られたんだ…
全ては、終わった…
「こんなモノ…」
私は、その指輪を引き抜き
床に投げ捨てると
音もなく絨毯の上を転がっていく指輪が
キラリと光った。
もう、その輝きに
胸躍らせることはない…
そして私は、鞄一つ手に持つと
部屋を出る。
目を閉じ、耳を塞ぎ
聖斗の部屋の前を通り過ぎると
2人に気付かれない様に
静かに階段を下りる。
玄関に並ぶ2足の靴
憎らしかった…
自分の靴が裏口にあることに気付いたけど
そんなの、どうでも良くて
サンダルをひっかけ外に出た。
ここに居たくない…
一刻も早くこの場所から離れたい。
酷いよ。
あんまりだよ…聖斗。
もう、聖斗の顔なんて、見たくない…
苦しくて、寂しくて
誰かに慰めて欲しかったのかもしれない。
ポケットの携帯を取り出し
私は智可に救いを求めた…
「ち…かぁ…」
『美羅?どうしたの?』
「…聖斗が…聖斗が…」
『聖斗君…
もしかして…あのこと…』
えっ?もしかしてって…?
あのことって…何?
「智可…?」
『聖斗君と…話した?』
「まさか、智可…
なんか…知ってるの?」